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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)680号 決定 1954年7月14日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人吉田栄一の上告趣意第一点及び第二点はいずれも単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

(所論は畢竟本件は頭初詐欺罪として公訴の提起がなされたが、その後昭和二七年三月二四日検察官から訴因並びに罰条を横領罪に変更する旨の請求があり、裁判所はこれを許可して審理判決したが本件犯罪行為は昭和二二年三月一八日に終ったのであるから、右訴因罰条の変更のあった昭和二七年三月二四日には既に横領罪としての五年の時効期間が経過し本件犯罪に対する公訴時効は完成したことを主張するに帰着する、しかしながら前記訴因罰条の変更によって起訴状記載の公訴事実の同一性に何等消長を来たすことのない本件においては、本件起訴の時を基準として公訴時効完成の有無を判断すべきであって、所論の如く訴因罰条の変更の時を基準とすべきでないと解するのが相当である。)また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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